グリップはごく初歩的な内容と考えられがちですが、プロやコーチによって解説やコツなどが違っていてなかなか興味深いものです。
内藤雄士コーチも、グリップに関して独自の考えをお持ちです。
内藤コーチの著書「ゴルフ 現代スイングの結論」82~89ページを参考に、内藤コーチの握り方やちょっとしたコツ、持つべきイメージなどをまとめます。
まずは左手のグリップから。
「体に近いほうの左手から握ることで、両手のバランス感覚を整えやすい」そうです。
引用部分の太字などの文字修飾は当サイトによるものです。
左手のグリップ握り方とコツ「短めに握る」
グリップにはフィンガーグリップとパームグリップの二つがあります。
筋力のある男子プロの中にはパームグリップを採用している選手もいますが、内藤コーチは「一般ゴルファーであればフィンガーグリップが適している」という考えです。
フィンガーグリップの具体的な握り方は以下のとおりです。
人差し指から小指までの4本の指の付け根を結ぶライン上にグリップをあてがい、小指、薬指、中指の三本でしっかり握ります。
グリップエンドを少し余して、左手の小指側からグリップに巻付けるように握れば、左手のグリップに安定感が生まれます。左手の小指を中心に、薬指、中指の三本に力点に置いて握るのが基本です。
フィンガーグリップに握ることで、筋力や握力が人並みでも左手にフィットしやすくなります。
残りの二本、つまり親指と人差し指は他の三本ほど力を入れず、グリップに軽く添える程度でOKです。
親指と人差し指の付け根にできるV字が右肩を指すように、左手はややかぶせ気味に握ります。
左手のグリップ関して、内藤プロが挙げているポイントがあります。
それはクラブを短めに持つこと。
短めに持つとこんなメリットがあるのです。
グリップエンドを少し余して握ればグリップが安定しやすいだけでなく、ミート率が向上するというメリットもあることを頭に入れておいてください。
左手の力加減を均一に保ちやすいため、スイング中の軌道のブレが少なく、それだけフェースの芯に当てやすいのです。
短めのグリップを実践しているトーナメントプロは意外と多く、逆にグリップエンドが手の中に入るほどクラブを長く持つ選手はほとんどいないそうです。
これまであまり意識しなかった方は、短めのグリップも試してみてはいかがでしょうか。
ベン・ホーガン直伝?右手グリップ ボールを〇〇イメージ
右手のグリップについては、その”イラスト”をご覧になった方も多いかもしれません。
内藤コーチの解説は、往年の名選手・ベン・ホーガンの著書「モダン・ゴルフ」から始まります。
ベン・ホーガンの「モダン・ゴルフ」を読んだことのある人ならご存じのとおり、この本は繊細なタッチのイラストでアドレスやスイングの基本をわかりやすく解説しています。
そして、私がもっとも気に入っているのが表紙のイラストです。
表紙にはベン・ホーガンがグリップをつくっているポーズが描かれていますが、右手の中指と薬指の二本をグリップに引っかける感じを見てよく真似したものです。
右手の親指と人差し指、小指の三本をグリップから外して、中指と薬指の二本をグリップに引っかけて握るということは、右手のグリップの肝がそこにあるという証明に違いありません。
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話がそれましたが、内藤コーチも当然この握り方を推奨されています。
右手のひらを大きく広げて、右手の中指と薬指の付け根のラインにグリップをあてがい、この2本をグリップにしっかり引っかけて握りましょう。
このように握るのは、あるイメージを強くするためです。
そのイメージとは・・・
右手は中指と薬指の二本が中心ですが、なぜこの二本をグリップでしっかり引っかけるように握るのかというと、右手のひらで押すイメージを強調したいためです。
その一番のポイントとなるのがインパクトで、ボールをとらえる瞬間に右手のひらが目標に対して正対し、右手のひらでボールを目標方向に押し込む感覚によってショットの方向性が安定しやすくなります。
右手の中指と薬指の二本がスイング中に緩むと右手のグリップがルーズになり、右手の平でボールを押すイメージのインパクトが作れなくなってしまいます。
右手の小指・親指・人差し指は
右手の小指の使い方はグリップの種類によって違います。
右手の小指ですが、オーバーラッピンググリップに握る人は左手の人差し指に右手小指を乗せ、インターロッキンググリップに握る人なら右手小指を左手の人差し指と絡めて握るようにします。
右手親指と人差し指は、日常動作では一番使う指ですが、ゴルフのグリップにおいては力を入れてはいけません。
右手の親指側に力が入ったり、鷲づかみしたりすると右ヒジが突っ張り、右肩が前に出た構えとなりやすいので注意してください。
右肩や右腕の力を抜いて、右ヒジを体に少し引きつけた体勢をつくり、右手のひらを目標方向に向けた状態で、グリップの真横から添えるようにして握ると、右手のグリップを正しい形につくりやすくなります。
内藤コーチは「グリップ以前の問題」として、アドレスにおける両ヒジの向きにも注意するようアドバイスされています。
ちなみに(当然かもしれませんが)、藤田寛之プロも左手は中指、薬指、小指の3本、右手は中指、薬指で握っています。
人差し指に力を入れない点も同様で、力を入れてしまうと上腕部に力が入り、バックスイングで右わきが開きがちになるのでNGなのです。
藤田プロのグリップに対する考え方も参考にしてみて下さい。
内藤コーチのアドレスにおけるヒジ、および藤田プロのグリップについては下記関連コンテンツをご覧ください。
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