ゴルフ好きの男の子このコンテンツでは、技術関連以外の話題を。
 
雑誌「週刊新潮」に以前連載されていた、青木功プロの「おれのゴルフ」から、特に興味深かったエピソードを紹介します。


 
アマチュアが実行するには難しい点もありますが、プロの”こだわり”の例としてご覧下さい。




ヘッド素材の変化に対応してスイングも変化

ヘッド素材が木から金属に変わったのは、やはり大きな変化だったようです。

道具の進化に伴って、おれのスウィングも少しずつ変化してきた。
 
感覚的な部分で説明しにくいけど、ヘッドを鋭角にボールに叩きつけ、スピンをかけて打ち上げる必要のあったパーシモンヘッドの頃と今のクラブとでは、明らかにインパクトゾーンの長さが違う。
 
フェースとボールが接触するのは1000分の1秒の世界と言われている。
 
この瞬間がスウィングで最も重要なポイントになるのだけど、ヘッドが木から金属に変わったことで、自然とおれの感覚も変わってきたんだと思う。
 

 
最近のクラブでボールを上から叩きにいくと、逆にスピンがかかり過ぎてしまって飛距離も出ないしコントロールもしにくい。
 
だから無理にボールを上げにいかず、インパクトからフォロースルーにかけて1押し、いや2押しするぐらいの感覚でボールを捌いている。
 
あくまでもイメージだけど、昔のインパクトゾーンが15センチくらいとすると、今はその2倍の30センチぐらいは目標方向にヘッドを長く、そして真っ直ぐ伸ばすように打っているのだ。
 
そう考えてみると、スウィングっていうのは、ある程度はクラブが作り上げていく部分があるんじゃないだろうか。
 
一方的に自分のスウィングをクラブに押し付けてもダメだし、クラブの性能ばかりに頼ってもいけない。
 

 
言うなれば夫婦関係と一緒で、「持ちつ持たれつ」が良いわけよ。
 
要は、お互いの長所を引き出して付き合っていくほうがハッピーということだね。

変化に対応する、青木プロの柔軟な考え方がよくわかるのではないでしょうか。

グリップは「変化に対応するために変えないこだわり」

一方で、「変化に対応するために、変えずにこだわっているやり方」もあるようです。

おれは50年にわたって、プロゴルファーとしてクラブの進化に合わせて打ち方を変えてきたわけだけど、昔からこだわっているのがグリップだ。
 
それこそ、クラブと身体が触れ合う唯一の接点だからとくに気を使っている。
 

 
アマチュアの方はクラブを購入してからグリップを交換する機会はそんなにないと思うけど、プロは数ヶ月に1回くらいのペースで替えている。
 
おれはその日の気温や体調を考慮して、重さや挿し方などを変えて交換する。だから、他のプロよりも頻度が高いと思う。
 
驚くかもしれないけど、全14本のクラブの中で1本でもしっくりこないものがあると、そっくり全てを交換しないと気が済まない。
 
自分で言うのもおかしいけれど、ここまでグリップにこだわりを持っている選手は少ないだろう。
 
グリップは実際に握ってしっくりくるのが重要だから、手のサイズに合わせて色々と工夫を施している。
 
とりわけおれの場合は特別な挿し方で、まずはシャフトとグリップの間に入れる下巻きテープの枚数を微妙に調整する。
 
普通は1枚で良いところを3枚にしたり、4枚にしたりする。これで自分の手にフィットした太さになって、より手に馴染むのだ。
 

 
それから、グリップを真っ直ぐに挿さないのも”おれ流”だ。
 
本来はグリップの正面をシャフトに合わせて真っ直ぐ入れていくんだけど、自分の持ち球を左から右へ曲がるフェードボールに変えた時からややオープンに挿すようになった。
 
だから、おれのクラブはグリップの型通りに握るとフェースが開いた状態になる。
 
手にしたほとんどの人が驚くけど、要はできるだけ左に飛ばさない状態をグリップで作っているわけ。
 
これはおれの手の感触で決めているから、グリップの交換は誰にも任せられない。
 
というより、誰も真似できないのである。
 
作業の時には1本1本に下巻きテープを貼り付けて、グリップを挿すまでの全ての過程を自分の手でやらないと気が済まない。
 
プロゴルファーにとって、クラブとの信頼関係を築いていくのは大切だ。
 
だから自分で作業するのは当然だと思っているし、手塩にかけて調整するからこそ、クラブを自分の個性に合わせられる。
 
最近の若手プロは契約メーカーのクラフトマンに任せっ切りらしいが、せめてグリップ交換ぐらいは自分でやって欲しいものだ。

ゴルフ好きの男の子アマチュアゴルファーが全てのクラブのグリップを自分好みに差し替えるのは難しいものです。
 
しかし、例えばパターだけ、あるいはドライバーだけであれば自分だけの工夫を施せるのではないでしょうか。
 
「グリップがちょっと(かなり)傷んでるけど、そのまま使ってる」
「もうちょっと太い(細い)と、いい感じになりそう」
「素材(あるいは作り)を変えてみようかな?」
「色を変えると気分がアガるかも」
 
といったケースでは、積極的に替えてみてはいかがでしょうか。特にグリップが傷んでいると、力の入り方が変わることがあります。
 
青木プロほどではなくとも、自分なりのこだわりを追求すれば、上達の助けになるかもしれません。
 
このコンテンツは雑誌週刊新潮 2015年3/5号(Amazon)114~115ページを参考にしました。