ドライバーの飛距離を伸ばすためにはいくつかのポイントがあり、体の捻転(ねじれ)を強くするのはそのうちのひとつです。
両肩が腰に対して90度ターンし、そのねじれを元に戻そうとする力を利用して、ボールを叩く力を上げるのです。
ゴルフにおいて体の柔軟性を上げるよう勧められる理由のひとつは、この捻転をスムーズに行うためです。
ただし、せっかく柔軟性が高まっても、捻転の効果が薄れてしまうことがあります。
捻転を弱くしてしまう注意点や宮里藍選手のケース、片手でのスイング練習法を紹介します。
捻転を弱めないためのコツ
◆右膝を動かさない
テークバックで、右膝が左右に動いたり、伸びたりするのは、捻転の力が弱くなるので良くありません。
右膝はアドレスの位置をキープします。
右膝の位置をキープすることで、スイングの軸も安定します。
◆上体を「上」に動かさない
ここでの「上」とは主に
上体が伸び上がる
上体が起きる
の二つを指しています。
これらの動きは、飛距離を伸ばす意識が強すぎると起きやすくなります。
実際には捻転ではないのに、飛距離を上げたいばかりについ上体が上に動いて、強く叩こうと意識があせってしまうのです。
体を捻転させるとは、上半身を上方向へ動かすことではありません。
ここを意識しておかないと、右膝が伸びたり、上半身が上に上がったりしてしまいます。
捻転はあくまで上半身をターンさせることです。
ただし、体をねじる動作は腰を傷めやすいので、柔軟性を高めないまま無理に捻転させるのは危険です。
宮里藍選手の飛距離が落ちた理由 姿勢の高さとテークバックなど
宮里藍選手の平均飛距離は07年7月時点で、前年よりも10ヤード近く落ちているそうです。
父でコーチでもある優氏は
「ドライバーを打つときの構えが立ち過ぎているから」
と指摘しています。
さらに詳しくは、
「姿勢が高くなりすぎているため、テークバックで肩がスムーズに回っていかないのです」
「胸を張りすぎているために、手上げになっています。エネルギーがボールに伝わりにくいのは、そのせい」
とのこと。
全米女子オープン終了後には優氏が指摘した点を修正すべく練習したため、宮里選手は改善された手ごたえを得ています。
左腕だけで振ってみる 遠心力を感じるために
飛ばすためには、ボールを力任せに叩くのではなく、遠心力が必要である
とは、現在では一般のゴルファーも理解しています。
普通のスイングでも、クラブの遠心力を感じることはできます。
しかしスイングで気をつけるのは遠心力だけではないため、練習を続けていると遠心力を利かせたスイングの感覚が遠くなることがあります。
すると、「あれ?思ったほど飛ばなくなった」と迷いが生じるものです。
そんな時、遠心力の感覚を思い出すためのスイング法を紹介します。
それは
左手だけでグリップし、左腕だけで振る片手打ち
です。
「片手打ち」と言っても、スイング中右手を遊ばせておくわけではありません。
右手は左手を包むようにかぶせておきます。
この状態でスイングするのです。
この方法のポイントは、右手が強くなりすぎるのを防ぎ、左手リードのスイングを意識することです。
これにより、遠心力が感じやすくなるはずです。
ダウンスイングからインパクトでは左手のリードで振る→左腕が伸び、左肩が引っ張られる
インパクト以降は右手のリードで振る→右腕が伸びて右肩が引っ張られる
練習でも何度かこのスイングを行うと、遠心力と同時に、上のような感覚もわかりやすくなります。