プロゴルファーなど、ゴルフが上手い人の記事で、
「アドレスしたら、細かいことは考えずに無心でスイングする」
といった記述を目にした方は多いのではないでしょうか。
そして「そう言われても、無心になるのって無理では?」と考える方も多いはず。
このコンテンツでは、ゴルフで無心になるとはどういうことか?についてまとめています。
アベレージゴルファーと上手い人を比較
当サイトでは、別コンテンツ「ビジョン54とプレイボックス・シンクボックス」で、「シンクボックス」「プレーボックス」という考え方を紹介しています。
これは簡単には、
というもので、考える→考えない(無心)の切り替えを「ボックスの出入り」のイメージで行うわけです。
「考えずにスイング」は良い結果をもたらすことが多く、「無心」がスコア改善の大きなキモになることは間違いなさそうです。
しかし「無心になる」といっても、
具体的に何をすればいいのかわかりませんよね?
(イチャモンのようですが)「何かする」「無心になろう」と考える時点で無心ではありませんし、瞑想の達人でもない限り「何も考えない」のはまず無理です。
ゴルフ上級者であっても、頭の中が「ゼロ」ということはないはずです。
それでは、上手い人の頭の中はどうなっているのでしょうか?よく言われる「ボールに集中する」は果たして正しいのでしょうか?
雑誌「ゴルフ・トゥデイ」に、「アベレージと上手い人では頭の使い方が全然違っていた?」という記事がありました。
「無心」に近づくのに参考になる、興味深い内容なので、以下にポイントをまとめて紹介します。
ここでの「アベレージ」とは、「練習場では良くてもコースでダメな人」で、「上手い人」とは「練習場でもコースでも上手く打てる人」です。
記事ではそれぞれ一般のゴルファーが実名で取材されていますが、このコンテンツでは、「上手い人」をAさん、「アベレージ」をBさんとします。
(ちなみにAさんはゴルフ歴25年で平均スコアは74、ベストスコアは64。Bさんはゴルフ歴20年で平均スコアは90、ベストスコアは82です)
ゴルフのプレーにおいては、
・どう打つかを考えるときは左脳
・無心で体が動くときは右脳
が活発になります。
脳の活動を調べることで、「無心」になっているかどうかがわかるのです。
スイングする時点では、右脳が働いているのが理想的なわけです。
記事では、Aさん・Bさん2人の、練習場とコースでの脳の働きの違いが解説されています。
(雑誌GOLF TODAY 2017年 12月号32~39ページを参考にしています)
練習場での脳の働き
結論から書きますと、AさんもBさんも練習場では脳の働きに差がほとんどありません。
2人とも、
・どう打つかを考える時には左脳
・体を動かすときは右脳
が働いています。
Aさんは練習場では「こまめに目標を変えながら練習する」よう心がけていて、以下のようにスイングの過程でもその目標への意識をキープします。
・打つべき場所を探す
・目標を決めたら、意識は目標に集中
・アドレスに入っても意識は目標に
・目標に打つ、そのことしか頭にない
Aさんはこのようにコメントしています。
練習場とコースは別モノだと思っていますが、目標にボールを運ぶという目的は変わりません。
本番同様、どう打つかを決めたら、目標に意識を集中してスイングしています。
BさんもAさんと同様に、練習場では無心で動けています。
Bさんの心がけは「あまり難しいことは考えないように練習する」で、考えることは以下のように限られています。
・目標をどこにするかを考える
・弾道をイメージする
・ボールに集中する
・体を動かすことだけを考える
Bさんのコメントです。
練習場では、あまりスイングのこととか、難しいことは考えないようにしているつもりです。
普段は週に1度、50球くらい打って、体をあたためる程度で練習を終えています。
これがコースに出ると、二人の脳の働きに明らかに違いが出てきます。
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コースでの脳の働きの違い
二人の脳の働きの違いは、プレッシャーがかかる場面で顕著になります。
まずはAさんから。
コースにおけるAさんの状態を表すなら
「練習場同様、体を動かすときは無心」
「目標を決めたら意識は目標に向けたまま」
です。
これは難しい状況でも変わりません。
狙いが定めにくい、ツマ先下がりのライで
・練習場と同様、ボール後方から目標や距離を確認
・打つイメージはできているのでプレッシャーはない
・アドレスしたら、あとはイメージどおりに振るだけ
距離感を測りにくい極端な打ち上げ
・必要な情報を収集できれば、イメージは固まる
・イメージができているので、あとは目標に向かってボールを運ぶだけ
・どんな状況でもやることは「目標を決めてそこに打つ」
Aさんはコースではこうしたことを心がけています。
打つべき場所、距離感を確かめたら、目標に意識を集中します。
そして、ボールを前にしたら、目標にボールを運ぶことだけを考えてスイングしています。
対してBさんはどうかというと、苦手な場面やプレッシャーがかかる状況では苦手意識や不安で頭がいっぱいで、体がスムーズに動かないケースが多いのです。
例えばBさんはパットが苦手です。
5メートル前後のなんでもないパット
・スライスかスネークか?読み切れていない
・アドレスしてもどう打つかは決められていない
・そのまま打ったらやっぱり良くない結果に
右が極端に狭いタイトなティショット
・どこに打てばいいか少し迷う
・テークバックを中に引き過ぎたように感じて、やり直し
・仕切り直すべきだったが、集中できないままスイングしてしまう
Bさんのコメントです。
パッティングは苦手なんです。どう打つか決めきれずに打ってしまったのが、いけなかったんですかね。
自分の中では、構えたらボールを打つことに集中しているつもりなんですが、やはりよけいなことを考えてしまっているようです。
「ボールを打つことに集中しているつもり」とありますが、イマイチな結果に終わることは多いようです。
そもそも、この「ボールに集中する」は効果的なのでしょうか?
「無心」になるために考えること
ここまでのAさんとBの考えを見ると、ある違いに気づきます。それは
・Aさんは常に目標へ運ぶことを意識
・Bさんはボールに集中することを意識
していることです。
実はボールに集中すると、スイングの細かい注意点や失敗したときのことを考えてしまい、左脳の活動が優位になりがちです。これは「無心」とは真逆の状態であり、体がスムーズに動かなくなります。
つまり、よく言われる「ボールに集中」はNGなケースがあるのです。
それよりも、Aさんのように目標へ運ぶことを意識するのがポイントです。記事にはこのように解説されています。
目標を意識に向ける。ただ、これだけで左脳の「思考(β波)」が止まり、右脳が「無心(α波)」になって、体がイメージしたとおりに動きやすくなる。
逆に、ボールに集中すること、打つことに集中することは、「思考(β波)」することにつながってしまっていた。
Aさんはこのように語っています。
「アドレスした後も、目標への意識は途切らせません。ボールの前に立ったら、スイングのことも考えません。頭の中にあるのは、狙った目標にボールを運ぶということだけです。それが無心につながるんですね」
もちろん、無心になる方法は人それぞれです。「ボールに集中したほうが良いショットが出る」というゴルファーは、それを意識して何も問題ありません。
しかし、「もしかしたら、スイングであれこれ考えすぎてるかも?」と自覚しているのであれば、
ボールを打つことに集中するのではなく、目標を意識する
ように心がけてみてはいかがでしょうか。
それが即ち、無心でのスイングにつながるかもしれません。