ゴルフ好きの女の子ゴルフ ビジョン54の哲学」(ピア・ニールソン&リン・マリオット共著)を読んだ宮里藍選手は強く感銘を受けました。

ピア・ニールソン氏はアニカ・ソレンスタム選手を育てたことで知られ、07年現在はアリゾナでリン・マリオット氏と共に指導者向けのセミナーを主催しています。





ビジョン54とは
 
「全てのホールでバーディーを奪い、スコア54を目指す」
 
という考えで、ニールソン氏がスウェーデンナショナルチームのコーチ時代に発案したものです。
 

 
このチームにはソレンスタム選手も在籍しており、ニールソン氏のコーチを受けたこのチームのメンバーはいずれも大成しています。
 
宮里選手は以前からニールソン氏を敬愛しており、自らのサインに「Ai 54」と記すほどです。
 
ピア・ニールソン、リン・マリオット両コーチの指導では、「シンクボックス」「プレイボックス」という考え方があります。
 
これはいわば「心の切り替えゾーン」であり、その考え方を紹介してみます。
 
ボールの1メートル手前に、「デシジョンライン(決断の境界線)」という仮想のラインを引きます。

 
このラインの手前が「シンクボックス」で、向こう側が「プレーボックス」と考えるのです。
 
自分がまだ「シンクボックス」にいる間は、スイングのチェックポイント、ライの状況や風向きなどを分析し、ショットのイメージを固めます。
 
しかし一度ラインを超えて「プレーボックス」に足を踏み入れたら、あとはもう新しく考えを追加することはしません。
 
「ミスしたら・・・」とか「スタンスが・・・」など余計なことは考えない、ということです。シンクボックスでの考えを生かすべく、目の前の一打に集中します。
 
この考え方は宮里藍選手も実践しています。
 
ティーショットに限らず、アプローチでもパッティングでも、アドレスに入ってから何かを考えることがあります。
 
「テークバックの高さはどれくらいにしようか・・・」
「ちょっと深めのラフだけど、クラブはこれでいいかな?」
 
などスイングやクラブに関することであったり、
 
「風向きや風の強さは?」
「右側の木が邪魔だな」
 
といったコースについてのことだったりします。
 
では、プロ達はアドレス時には何を考えているのでしょうか?
 

 
正解はどうやら「何も考えない」ということになりそうです。
 
プロにとって、技術的な迷いやコースの攻略などがアドレス時に頭をよぎるのは、もはや「雑念」でしかないということになります。
 
「アドレス時には何も考えず、ただスイングするだけ」を心がけるわけです。
 
ピア・ニールソンコーチは

「ボールの後ろで狙いを定める際に、スイングなどの技術的なチェックも終えてしまうこと。
 
アドレスに入ったらあとは目標に向けてスイングするだけ」

と語っています。
 
とはいえ、アマチュアにとってこれはかなり難しいことです。
 
特にあまり得意でないクラブを使うときなどは、どうしても雑念が入ってしまうものです。
 
「あまり難しいことを考えず、思いっきりスイングしたら素晴らしいショットになった」という経験はありませんか?
 
プロはこれを「開き直って」ではなく、意識的に行って良いショットを連発するわけです。
 
決して「投げやりになって」や「いい加減な気持ちで」何も考えないわけではありません。
 
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そのための第一歩は、まず「自分を知る」ことが大事ではないでしょうか。
 
自分のクラブで、どのくらいのスイングをしたときにどれだけ飛ぶのか、をちゃんと把握するのは普段の練習でも十分できることです。

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