ゴルフのスイングでは、前傾姿勢で体をひねります。
前傾姿勢は腰への負担が大きく、加えてひねる動作は関節を傷めやすい動きです。ゴルフは腰痛リスクが高い動作を続けるスポーツなのです。
実際に腰の痛みを訴えるゴルファーは珍しくありません。
青木功プロが雑誌「週刊新潮」で連載されていたコラム「おれのゴルフ」で、ゴルファーの腰痛に言及されています。
ちょっと昔の記事ですが一部を抜粋して紹介します。
「石を鉄の棒で打つ」金属ヘッド化と現代スイングの弊害 首から腰に負担
青木プロは、近年のゴルファーの腰痛はスイング動作以外にも原因があるとしています。
バラタボールをパーシモンヘッドで打っていた頃の手ごたえは実にソフトで、インパクトの瞬間はボールが潰れてフェースから離れるまでを「乗っかっている」と表現していた。
それほど柔らかい打感だったのが、今では硬いヘッドと硬いボールが主流になって、そういう感覚が消えてしまった。
かつては木製のヘッドも使われていましたが、現在は金属製ヘッドがほとんどです。
青木プロはその変遷にも触れていて、その過程で体調に異変が表れているそうです。
周りの選手がほとんど金属製のヘッドを使い出した頃も、おれはパーシモンヘッドを手放さなかった。
人間が古いせいか、おいそれと新しいものに飛びつけなかったのかもしれないし、何年もかけて培ってきた感覚が変わるのが怖かったというのもある。
だが、ついに時代の流れで変えざるを得なくなった。
それでも、何年か使っていくと馴染んできたが、やけに頸椎に負担がかかることに気が付いた。
頸椎は背骨で腰椎までつながっているから、ここを痛めるとひいては腰痛まで引き起こす。
極端かもしれないけど、パーシモン時代と比べると、まるで「石ころを鉄の棒で打つ」ような感覚で、打った瞬間は「カツン」と首に響き、さらにヘッドがスッポ抜けて行くような感覚がある。
このところ故障する選手が増えたけど、原因のひとつにはヘッドとボールが硬くなったことがあると思う。
「柔らかいもので発生する衝撃」と「硬いもので発生する衝撃」では、後者のほうが大きいのは言うまでもありません。
金属ヘッドの普及により、ゴルファーへの負担は増えていると考えて間違いないでしょう。
青木プロは近年のスイングの特徴もケガと関連付けられています。
最近は特に、体の軸を動かさずに状態でスウィングをする選手が増えたからかもしれない。
おれはどちらかと言うと、上体をあまり捻らずに打つタイプ。
お陰でこれまで大きなケガにはならないでやって来られたが、一方で昔に比べると疲れやすくなった。
(管理人注:青木プロのスイングに関しては、関連記事をご覧ください)
腰痛持ちでない限り、ゴルファーは普段のプレーで腰へのダメージを意識することはあまりないでしょう。
しかし青木プロが指摘されるように、現代ゴルフでは腰への負担が大きくなっていると知っておくのは無駄ではありません。
ある日突然「グキッ!」と傷めないよう、予防・対策をとりましょう。寒い季節は特に注意が必要です。
(このコンテンツは週刊新潮2015年6/11号112~113ページを参考にしました)
勝負論